JOURNAL ・ 撮影地の記録
行幸通りの黄金並木 ― 東京駅から皇居へ、銀杏の金の道
東京・丸の内。赤レンガの駅舎から皇居へ向かって、まっすぐ一本の道が延びています。行幸通り。晩秋になると、その両側に並ぶ四列のイチョウが、いっせいに黄金色へと色を変えます。都心のまんなかに、ふいに金の回廊が立ちあがる季節です。
金の道が、駅舎へ向かってまっすぐ延びる
東京駅の丸の内口に立つと、目の前にゆったりと広い一本道が見えます。行幸通りです。晩秋、両側のイチョウが黄葉すると、舗装の上にも金の光が満ちて、道そのものが輝いているように感じられます。そして振り返れば、赤レンガの駅舎。深い赤褐色のレンガと、白い石の縁取り。その重厚な壁を背景にすると、黄金色の葉はいっそう澄んで、明るく見えてきます。整然と植えられた木々が、まっすぐな線になって駅舎へと収束していく。この対比と秩序の美しさに、毎年のように心を動かされます。
都市が、いちばん静かに輝く時間
行幸通りは、ビルに囲まれた都会の道です。それでもこの季節だけは、コンクリートの直線が、やわらかな黄金の帯に変わります。日が傾くと葉は飴色を帯び、夜にはライトアップとビルの灯りが重なって、また別の表情を見せてくれます。救急の現場で、時間に追われる夜を数えきれないほど過ごしてきました。だからこそ、この道に立つ夕暮れの数分が、ことさら贅沢に思えるのかもしれません。落ち葉を踏みしめながら、ただ駅舎を眺める。それだけの時間が、心をほどいてくれます。
東京駅から皇居へ、まっすぐ一本。
晩秋だけにあらわれる、金の回廊。
訪れる方へ ― 見頃
黄葉のピークは短く、晩秋に集中します。
行幸通りのイチョウが見頃を迎えるのは、例年およそ11月下旬から12月上旬。色づきの盛りは一、二週間ほどと短く、その後は急速に落葉が進みます。最盛期には黄金色の並木が、散りはじめれば道いっぱいに広がる金の絨毯が楽しめます。色づきの進み具合は年によって前後しますので、出かける前に最新情報を確かめておくと安心です。
アクセス
行幸通りは、JR・東京メトロの東京駅丸の内口を出てすぐ。丸の内中央口から皇居方向へ歩けば、もう並木の入口です。東京メトロ千代田線の二重橋前駅からも数分。駅を出た瞬間に黄金の道が目に飛び込んでくる、都心とは思えない眺めが待っています。
撮影のヒント
まずは道のまんなかに立ち、駅舎を正面に据えた対称構図を。四列の並木と赤レンガの駅舎が、左右きれいに釣り合います。黄葉は明るく飛びやすいので、露出をわずかに抑えると、金色の深みが残ります。光は朝と夕方がやわらかく、駅舎の赤と葉の黄が美しく溶け合う時間帯。ライトアップの時刻に合わせれば、また違う一枚になります。広い通りなので、歩く人をあえて小さく入れると、並木の雄大さが伝わります。
あわせて巡りたい
行幸通りを皇居方向へ抜ければ、芝生の広がる皇居外苑へ。松並木と黄葉の競演が静かに迎えてくれます。駅側へ戻れば、丸の内のれんが街やKITTE丸の内。屋上庭園からは、行幸通りと駅舎を上から見渡せます。歴史ある赤レンガと、現代の都市の眺めをひと続きに味わえるのも、この一帯ならではの魅力です。同じ並木でも、朝の澄んだ光、夕暮れの飴色、ライトアップの夜と、時間を変えて訪れれば、まったく違う金色に出会えます。一年でほんの二週間ほど、晩秋だけがくれる贈りものです。