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鋸南町の山あいの斜面いっぱいに咲く白い日本水仙の群生

JOURNAL ・ 撮影地の記録

鋸南町の水仙 ― 真冬の山あいに、白い灯がともる

📍 千葉県・鋸南町 🌼 見頃 例年12月下旬〜2月上旬

千葉・鋸南町。房総半島の南、海にほど近い山あいに、まだ冬枯れの色をした季節があります。けれどその斜面に近づくと、足もとから甘い香りが立ちのぼり、白く小さな花が一面に咲いているのに気づきます。日本水仙。寒さがいちばん深まるころに、いちばん静かに咲く花です。

冬のいちばん寒い日に、いちばん白く咲く

一年でもっとも光のとぼしい季節に、わざわざ花を開く植物があります。日本水仙は、ほかの花が眠っている真冬の山あいで、ひとつ、またひとつと白い花をともしていきます。冷たい空気のなかで見ると、その白はどこか凜として、けれど決して張りつめてはいません。うつむきかげんに咲く小さな花は、寒さに耐えるというより、寒さと静かに連れ立っているように見えます。心が動くのは、たぶんそのためです。何も咲かないはずの季節に、ちゃんと咲いているものがある。それだけのことが、冬のさなかにはとても大きく感じられるのです。

香りが先に、花がそのあとに

鋸南町の水仙の里を歩くと、花を見るより先に、香りに気づきます。甘く、どこか冷たく澄んだその香りは、風に乗って斜面のずっと手前まで届いています。江月水仙ロードでは、町道沿いのおよそ三キロにわたって水仙が続き、をくづれ水仙郷では山の斜面いっぱいを白い花が覆います。救急の現場で長い夜を過ごした帰り道、この香りのなかをゆっくり歩くと、張りつめていた何かが少しずつほどけていくのがわかります。花は、こちらの都合など知らずに、ただ咲いている。その無関心さが、不思議とやさしいのです。

白い花は、声をひそめて咲く。
香りだけが、先に春を告げている。

訪れる方へ ― 見頃

真冬がいちばんの見ごろです。寒い日ほど、香りが深くなります。

鋸南町の日本水仙は、例年12月下旬から2月上旬ごろに見頃を迎えます。シーズンに合わせて「鋸南町水仙まつり」が開かれ、江月水仙ロードでは地元の農産物や切り花が並び、佐久間ダム湖では夜にライトアップされた幻想的な水仙を楽しめる年もあります。江月水仙ロードはおだやかなハイキングコース、をくづれ水仙郷は斜面に広がる群生と、表情が異なります。開花は気候に左右されるため、おでかけ前に最新の状況を公式でお確かめください。

アクセス

鋸南町へは、JR内房線が便利です。江月水仙ロードはJR保田駅から入口まで徒歩およそ15分、そこから水仙の続く道をゆっくり歩いて巡ります。をくづれ水仙郷へは保田駅から町営の循環バスを利用し「大崩」で下車する行き方が知られています。隣の浜金谷駅は鋸山への玄関口で、こちらを起点に町をめぐる方も多いところです。いずれも歩く時間が長くなりますので、歩きやすい靴と、冬の防寒をお忘れなく。

撮影のヒント

白い花は、明るさに気をつけたい被写体です。真冬の澄んだ光のもとでは、花がとんで真っ白になりがちなので、少し露出を抑えて、花びらの陰影と質感を残すときれいに写ります。曇りの日のやわらかな光も、水仙にはよく似合います。香りそのものは写せませんが、群生の奥行きを生かし、手前の一輪にそっと寄ることで、空気のしずかな密度が伝わります。海に近い山あいの斜面ですから、光の射す角度や時間を変えながら、白の階調をていねいに拾ってみてください。

あわせて巡りたい

鋸南町のとなり、浜金谷からは鋸山へ登れます。山頂付近の石切場跡や、東京湾を見晴らす断崖の眺めは、水仙の里とはまた違う冬の景色です。海沿いの保田や、その先の南房総まで足をのばせば、冬でもあたたかな房総ならではの海の幸が待っています。白い花の香りと、冬の海の風と。半島の南は、真冬でもどこか春を先取りしたような、やわらかな時間が流れています。

📍 所在地千葉県安房郡鋸南町(江月水仙ロード/をくづれ水仙郷)
🌼 見頃例年12月下旬〜2月上旬ごろ
🌼 花日本水仙(日本水仙三大群生地のひとつ)
🏮 まつり鋸南町水仙まつり(例年12月上旬〜2月上旬/佐久間ダム湖のライトアップが行われる年も)
🚉 アクセスJR内房線 保田駅・浜金谷駅から。江月水仙ロードは保田駅から徒歩約15分
ℹ️ 最新情報開花状況・まつりの日程は鋸南町観光協会・鋸南町などでご確認ください
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