機材レビュー
Nikon Z f レビュー ― 見た目で選びました
先に、いちばん正直なところを書きます。このカメラを選んだ決め手は、見た目でした。機能で比較して勝ったから選んだ、という話ではありません。それは軽薄な選び方でしょうか。私はそうは思っていません。理由をこのレビューに書きます。
Amazonのアソシエイトとして、Ikebanadoctorは適格販売により収入を得ています。リンク経由でご購入いただくと、売上の一部がIkebanadoctorの制作活動の支えになります(お客様のお支払い金額は変わりません)。心からおすすめできる、実際に使っている道具だけをご紹介しています。
決め手は、見た目でした
正直機能は申し分ないのですが、見た目が気に入っています。クラシカルなオシャレさを持っており、これが一番の決め手。
― Ikebanadoctor機能は申し分ない。そのうえで、決め手は見た目だった。この順序が大事だと思っています。性能が足りない道具を見た目で選んだわけではなく、どれを選んでも困らない水準に達したあとで、最後に何で決めたかという話です。
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なぜ、それがまっとうな選び方なのか
持って出かけたいなと思えるカメラが選ぶ基準として大事。カメラを持って出かけて撮影しないと何も始まらないし、たくさん撮影する場数を踏むことが上達の一番の近道だと思うから。
― Ikebanadoctor写真がうまくなる要因のうち、機材が占める割合はそれほど大きくありません。効くのは撮った回数です。そして撮った回数を決めるのは、スペック表ではなく「今日そのカメラを持って家を出たかどうか」。持ち出す気にならないカメラは、性能がどれだけ高くても、その日は0枚です。
だとすれば、「持って出かけたくなるか」は、感情の話ではなく撮影枚数に直結する実用的な指標ということになります。見た目が好きであることは、その指標をいちばん確実に満たす方法のひとつです。これは三脚を選ぶときの「これだったら持っていっていい」とまったく同じ基準で、フィルター一枚をバッグに入れておくかどうかにも同じ理屈が働いています。
「機能は申し分ない」の中身
決め手の話を先に書きましたが、誤解のないように続けます。このカメラは中身がまず一級です。機能がこの水準にあったからこそ、最後の一押しを見た目に預けられました。以下、その「申し分ない」の中身を、メーカー公表値で確認していきます。ここに書くのは公式スペックだけで、私が語っていない使用感は書きません(このレビューの方針です)。
基本仕様だけでは足りないので、Z f ならではの機能も公式の記載から拾っておきます。
その仕様が、花風景の撮影で意味すること
数字の羅列で終わらせないために、上の仕様から一般に言えることを書いておきます。私個人の使いこなしの話ではなく、「この数字は撮影のどこに効くのか」という読み方です。
いちばん光が良い時間は、いちばん光が少ない
花風景で光が良いのは、日の出前後と日没前後です。そしてその時間帯は、同時にいちばん光が少ない時間帯でもあります。ここに効くのがイメージセンサーシフト方式5軸補正(公式表記で8段分)とISO 100〜64000という常用域です。手持ちで粘れる時間が延びるということは、三脚を立てるまでもない場面が増えるということでもあります。
加えて Z f にはフォーカスポイントVRがあります。公式の説明は「被写体が画面内のどこにあっても、フォーカスポイント付近のブレを抑えることが可能」。花を画面の隅に置いて背景を大きく入れる構図は花風景では日常的なので、ピントを置いた場所を基準にブレを抑えるという考え方はそのまま噛み合います。
2,450万画素と EXPEED 7 という組み合わせ
2,450万画素は、いまのフルサイズとしては高画素機ではありません。ただプリントを前提にするなら、これは不足ではなく余裕です。1画素あたりの受光面積を稼げるぶん高感度に有利で、ファイルも軽く、現像の待ち時間が短い。そのうえで画像処理エンジンはZ 9・Z 8 と同じ EXPEED 7です。クラシカルな外装の下にあるのが上位機と同じ世代の頭脳である、というのがこのカメラの性格を一番よく表しています。
AFは273点のハイブリッドAF(位相差AF/コントラストAF)で、検出範囲は−10〜19EV。下限が−10EVまで伸びているのは、まさに夜明け前の暗さで合焦を試みる場面の話です。被写体検出は9種類(人物/犬/猫/鳥/車/バイク/自転車/列車/飛行機)。花そのものは検出対象に入っていませんが、花畑に人を入れる構図や、花に来た鳥を待つ撮り方では働く範囲です。
白黒を「あとで作る」のではなく、「撮りに行ける」
Z f は天面に瞬時にモノクローム撮影へ切り換える専用レバーを持ち、ピクチャーコントロールにはモノクローム/フラットモノクローム/ディープトーンモノクロームが用意されています。これは現像後に色を抜く機能ではなく、撮る前からモノクロで見るための導線です。色を落とすと、残るのは光と形と階調だけになります。花風景は色が主役になりやすい被写体なので、レバー一つで「色に頼らない見方」へ切り替えられるのは、構図を鍛える意味でも面白い設計だと思います。
濡れる前提の日と、動画
前カバーとトップカバーはマグネシウム合金、Z 8 と同等の防塵・防滴性能で、使用温度は0℃〜40℃。雨上がりのあじさい、雪の残る早春といった被写体は、そもそも機材が濡れる前提の撮影になります。動画は4K UHD 60p、フルHDは120pまで、1回の最長記録時間は125分。写真が主役でも、風に揺れる花や動く雲を数十秒だけ残しておく、という使い方に困る水準ではありません。
ここまでが「機能は申し分ない」の中身です。裏返せば、どれを選んでも困らない水準に達していたからこそ、最後の一押しを見た目に預けられたということでもあります。機能が足りているなら見た目で決めてよい ― これは手抜きではなく、順番の話です。
短所 ― 見た目で選ぶ、ということ
正直な決め手を書いた以上、その裏側も書いておきます。
グリップについては補足を。24-70mmのような少し重いレンズを着けて長時間構えると、指が疲れてきます。私は純正のエクステンショングリップ Z f-GR1 を足していて、握りが深くなり構えが安定しました(三脚のプレートを着けたままでも使えます)。この製品は撮影機材ガイドに載せています。
それから、これは短所というより性格の話ですが、クラシカルなダイヤル操作は好みが分かれます。天面のダイヤルで露出を決める操作系は、慣れると気持ちよく、慣れないうちは遠回りに感じます。店頭で一度触ってから決めるのがいちばん確実です。
オールドレンズと合わせる
クラシカルな外観のカメラに、実際に古いレンズが載るのは楽しいものです。私はこのカメラに SHOTEN の M42-NZ アダプターを付けたまま、旧ソ連製の HELIOS-44-2 58mm F2 を行き来させています。ピントも絞りも手動になりますが、写りの選択肢がまるごと一つ増えるのは、現行レンズを買い足すのとは別の楽しさです。
持ち出した先で、撮れたもの
結局のところ、カメラの評価は「そのカメラを持って何回出かけたか」でしか出ません。以下は、出かけた先で撮って、いまプリントとしてお届けしている作品です。
出かけた先で撮った、三枚
朝焼けの富士山、京都の紅葉、初夏のルピナス。どれも「持って出かけた日」に撮れた一枚です。
買うなら
Nikon Z f
Ikebanadoctorのメインカメラ。クラシックで端正な佇まいだけでなく、中身も一級です。40mm単焦点が付くレンズキットなら、届いたその日から撮り始められます。すでにお気に入りのレンズをお持ちなら、ボディ単体を。
レンズをすでにお持ちならボディ単体、これ一台で始めるならレンズキットが早いです。私が使っている標準ズームやフィルター、三脚は撮影機材ガイドにまとめています。
山梨・花の都公園の夜明け。ピンクと紫に染まる空に富士山がシルエットで立ち、足元には黄金色のキバナコスモスが広がります。持って出かけた日にしか撮れない一枚を、FUJICOLOR最高級印画紙の銀塩プリントで。
朝焼けのキバナコスモスと富士山を見る →