京都・東寺の五重塔と、ライトアップされた紅葉の夜景。三脚を据えて撮った長秒露光

機材レビュー

SLIK ライトカーボン E64 II レビュー 持っていってもいい、と思える三脚

📐 カーボン三脚 ⚖️ 重さと機能のトレードオフ 🩺 救急医×受賞写真家の視点

三脚選びは、突きつめると「重さと機能のトレードオフをどこで折り合わせるか」の話です。頑丈な三脚ほど重く、軽い三脚ほど心もとない。私がこの一台を使っている理由は、その折り合いのつけ方が絶妙だったからです。このレビューでは、決め手になった点と、公式スペック、そして限界を書きます。

📐 位置づけ私が使っているカーボン三脚です
🖼️ 作例についていずれも三脚を据えて撮った作品です。ただし一枚ごとにどの三脚を使ったかまでは記録していないので、「この製品で撮った」とは書いていません
📋 スペックの出典ケンコー・トキナー(SLIK)公式製品ページ

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持っていかなかった三脚は、性能ゼロ

三脚は、機材のなかでいちばん「置いていかれる」道具です。玄関で一度天秤にかけられ、重ければ置いていかれる。そして置いてきた三脚の耐荷重は、その日ゼロです。どれだけ剛性が高くても、現場に無ければ写真は変わりません。だから三脚のスペックは、性能表の数字だけでなく「その数字を毎回連れていけるか」まで含めて読む必要があります。

機動力が全てなので持ち運びたいなと思える製品が大事。この三脚はこれだったら持っていっていいなと思える機材。

― Ikebanadoctor

あわせて読みたい ― 撮影術と機材

同じ道具と、同じ光の話。続けて読むと、撮り方がつながります。

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公式スペック

📏 全高1,685mm(エレベーターを下げた状態で 1,400mm)
🔽 地上最低高210mm / エレベータースライド幅 285mm
🎒 縮長520mm / 重量 1,040g(雲台込み)
⚖️ 搭載質量推奨積載質量 2kg(脚の最大荷重 10kg)
🦵 脚パイプ径22mm・4段・ナット式脚ロック。新世代「LCIIカーボンパイプ」+空転しないARSパイプで全段を一度に伸縮
🔺 開脚ハライチロック式開脚機構。ハイ/ミドル/ローの3段階
🎯 雲台専用設計の「SBH-100改」。独立したカメラ台とシングルナット式カメラネジ。雲台は分離可
🪝 その他エレベーター下部にウェイトフック。公式の対応目安は「フルサイズミラーレス機+標準レンズ、標準ズーム」

決め手 ― 両立していること

重さと機能ってトレードオフだと思うのですが、これはうまく両立しており、とても長い高さまで対応できるし、安定するしかといって重すぎない絶妙なバランス。

― Ikebanadoctor

ここで言われている三つは、三脚のカタログを読むときに実際いちばん効く三つでもあります。順に補足しておきます。

全高が高いことは、姿勢の問題です。低い三脚だと腰をかがめて覗くことになり、長い待ち時間の撮影ではそれだけで集中が削られます。目線の高さまで伸びる三脚は、立ったまま構図を作れる。花の撮影のように地面すれすれから見上げる場面も多いので「高くも低くもできる」ことがそのまま撮れる絵の幅になります。

安定は、脚を伸ばしきったときにどうかで決まります。カタログの全高いっぱいまで伸ばすと、どんな三脚でもいちばん細いパイプが効いてくる。ここでぐらつく三脚は、実質「その高さは使えない」のと同じです。

重すぎないは、前の章のとおり、他の二つを毎回現場へ運ぶための条件です。この三つが同時に成り立っているものは、じつは多くありません。

実際に使ってみて

たいていの場面で問題なく使える。よほどなシチュエーションでない限り問題ない。

― Ikebanadoctor

これがいちばん正直な評価です。「あらゆる場面で最高」ではありません。「たいていの場面で問題ない」。撮影機材の評価としては、これで十分に高い点数だと思っています。日常的に使う道具に必要なのは、頂点の性能ではなく、効かない日が来ないことだからです。

「よほどのシチュエーション」とは何か

ここは正直に線を引いておきます。私自身がこの三脚で困った場面は、いまのところありません。ですから以下は私の体験談ではなく、一般に軽量三脚が苦しくなるとされる場面として読んでください。

💨 強風軽さは風には不利に働く。1kg級の三脚は、脚を伸ばしきった状態で横風を受けると振動が収まりにくい
🔭 重い機材公式の推奨積載質量は2kg。ボディ+標準ズームなら収まるが、大口径望遠を載せる前提なら、この数字は先に確認しておくべき
🌊 波打ち際・砂海辺や川原は、脚のロックに砂と塩が入る。どの三脚でも同じだが、細いパイプほど影響が出やすい
⏱️ 極端な長秒数分単位の露光では、わずかな沈み込みも像に出る。地面が柔らかい場所では、そもそも脚の据え方の問題になる

軽量三脚を強くするいちばん簡単な方法は、重心を下げることです。センターポールはできるだけ伸ばさない(伸ばすほど、三脚は一本足の棒に近づきます)。脚は上段の太いパイプから順に伸ばし、細い最下段は最後に使う。フックがあればカメラバッグを吊るす。強風の日はそもそも撮影を諦める判断も含めて、道具の限界ではなく使い方で吸収できる部分がかなりあります。

三脚が要る写真

三脚が効くのは、手ブレを止めたいときだけではありません。シャッターが開いている時間そのものを写したいときに、代わりになる道具がないのです。以下は、いずれも三脚を据えて撮った作品です。

三脚を立てて撮った、三枚

長い露光か、暗いなかで構図を固定しておく必要があった作品です。FUJICOLOR最高級印画紙の銀塩プリントでお届けします。

夜の露出、ブレを消す作法、三脚が使えない場所のマナーまでは、三脚と、夜の撮影にまとめています。この記事が三脚そのもののレビューだとすれば、あちらは三脚を立ててから何をするかの話です。花火のように「据えたら二時間動かさない」撮影の考え方は花火の撮り方に書きました(その記事の作例2点は、三脚を使わない手持ちの連写で撮ったものです。王道と、そうでない道の両方を並べてあります)。

買うなら

TRIPOD ・ カーボン三脚

SLIK ライトカーボン E64 II

雲台込み1,040gで全高1,685mm。持ち運べる重さと、立ったまま覗ける高さを同時に満たした一台です。「重いから置いていく」が起こらないことが、夜の撮影ではいちばん効きます。

縦構図を多用するなら、L型クイックリリースプレートを足すと雲台を横に倒さずに済みます。私が使っているものを含め、三脚まわりの小物は撮影機材ガイドにまとめました。

🖼️ 夜の一枚を、部屋に飾る
🖼️ 夜の一枚を、部屋に飾る

記事のトップに使った「東寺・夜紅葉」は、フォトコンテスト受賞作です。世界遺産・東寺の五重塔が、額縁のような紅葉に囲まれて黄金色に浮かびます。FUJICOLOR最高級印画紙の銀塩プリントでお届けします。

🖼️ 額縁の選び方(内寸・外寸つき)

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