機材レビュー
SLIK ライトカーボン E64 II レビュー ― 持っていってもいい、と思える三脚
三脚選びは、突きつめると「重さと機能のトレードオフをどこで折り合わせるか」の話です。頑丈な三脚ほど重く、軽い三脚ほど心もとない。私がこの一台を使っている理由は、その折り合いのつけ方が絶妙だったからです。このレビューでは、決め手になった点と、公式スペック、そして限界を書きます。
Amazonのアソシエイトとして、Ikebanadoctorは適格販売により収入を得ています。リンク経由でご購入いただくと、売上の一部がIkebanadoctorの制作活動の支えになります(お客様のお支払い金額は変わりません)。心からおすすめできる、実際に使っている道具だけをご紹介しています。
持っていかなかった三脚は、性能ゼロ
三脚は、機材のなかでいちばん「置いていかれる」道具です。玄関で一度天秤にかけられ、重ければ置いていかれる。そして置いてきた三脚の耐荷重は、その日ゼロです。どれだけ剛性が高くても、現場に無ければ写真は変わりません。だから三脚のスペックは、性能表の数字だけでなく「その数字を毎回連れていけるか」まで含めて読む必要があります。
機動力が全てなので持ち運びたいなと思える製品が大事。この三脚はこれだったら持っていっていいなと思える機材。
― Ikebanadoctorあわせて読みたい ― 撮影術と機材
同じ道具と、同じ光の話。続けて読むと、撮り方がつながります。
公式スペック
決め手 ― 両立していること
重さと機能ってトレードオフだと思うのですが、これはうまく両立しており、とても長い高さまで対応できるし、安定するしかといって重すぎない絶妙なバランス。
― Ikebanadoctorここで言われている三つは、三脚のカタログを読むときに実際いちばん効く三つでもあります。順に補足しておきます。
全高が高いことは、姿勢の問題です。低い三脚だと腰をかがめて覗くことになり、長い待ち時間の撮影ではそれだけで集中が削られます。目線の高さまで伸びる三脚は、立ったまま構図を作れる。花の撮影のように地面すれすれから見上げる場面も多いので「高くも低くもできる」ことがそのまま撮れる絵の幅になります。
安定は、脚を伸ばしきったときにどうかで決まります。カタログの全高いっぱいまで伸ばすと、どんな三脚でもいちばん細いパイプが効いてくる。ここでぐらつく三脚は、実質「その高さは使えない」のと同じです。
重すぎないは、前の章のとおり、他の二つを毎回現場へ運ぶための条件です。この三つが同時に成り立っているものは、じつは多くありません。
実際に使ってみて
たいていの場面で問題なく使える。よほどなシチュエーションでない限り問題ない。
― Ikebanadoctorこれがいちばん正直な評価です。「あらゆる場面で最高」ではありません。「たいていの場面で問題ない」。撮影機材の評価としては、これで十分に高い点数だと思っています。日常的に使う道具に必要なのは、頂点の性能ではなく、効かない日が来ないことだからです。
「よほどのシチュエーション」とは何か
ここは正直に線を引いておきます。私自身がこの三脚で困った場面は、いまのところありません。ですから以下は私の体験談ではなく、一般に軽量三脚が苦しくなるとされる場面として読んでください。
軽量三脚を強くするいちばん簡単な方法は、重心を下げることです。センターポールはできるだけ伸ばさない(伸ばすほど、三脚は一本足の棒に近づきます)。脚は上段の太いパイプから順に伸ばし、細い最下段は最後に使う。フックがあればカメラバッグを吊るす。強風の日はそもそも撮影を諦める判断も含めて、道具の限界ではなく使い方で吸収できる部分がかなりあります。
三脚が要る写真
三脚が効くのは、手ブレを止めたいときだけではありません。シャッターが開いている時間そのものを写したいときに、代わりになる道具がないのです。以下は、いずれも三脚を据えて撮った作品です。
三脚を立てて撮った、三枚
長い露光か、暗いなかで構図を固定しておく必要があった作品です。FUJICOLOR最高級印画紙の銀塩プリントでお届けします。
夜の露出、ブレを消す作法、三脚が使えない場所のマナーまでは、三脚と、夜の撮影にまとめています。この記事が三脚そのもののレビューだとすれば、あちらは三脚を立ててから何をするかの話です。花火のように「据えたら二時間動かさない」撮影の考え方は花火の撮り方に書きました(その記事の作例2点は、三脚を使わない手持ちの連写で撮ったものです。王道と、そうでない道の両方を並べてあります)。
買うなら
SLIK ライトカーボン E64 II
雲台込み1,040gで全高1,685mm。持ち運べる重さと、立ったまま覗ける高さを同時に満たした一台です。「重いから置いていく」が起こらないことが、夜の撮影ではいちばん効きます。
縦構図を多用するなら、L型クイックリリースプレートを足すと雲台を横に倒さずに済みます。私が使っているものを含め、三脚まわりの小物は撮影機材ガイドにまとめました。
記事のトップに使った「東寺・夜紅葉」は、フォトコンテスト受賞作です。世界遺産・東寺の五重塔が、額縁のような紅葉に囲まれて黄金色に浮かびます。FUJICOLOR最高級印画紙の銀塩プリントでお届けします。
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