特集
夏の花の絶景撮影地ガイド ― ひまわり・蓮・ジニア
夏の関東近郊は、花の絶景の宝庫です。高原をまるごと黄金色に染めるひまわり、都心の池に早朝だけひらく蓮、丘を虹色に変えるジニア。救急の現場の合間に通いつづけた夏の撮影地のなかから、とくに心に残った五か所を、見頃とアクセスの事実とあわせてご案内します。
明野のひまわり ― 八ヶ岳と南アルプスを背に(山梨・北杜市)
ひまわり畑をひとつ選ぶなら、まずここへ。日照時間日本一といわれる高原に、数十万本のひまわりが咲きそろいます。背後には八ヶ岳、振り返れば南アルプスや富士山、茅ヶ岳の稜線。三六〇度を山に囲まれた畑で花がいっせいに太陽を向く光景は、光そのものが地面から立ちのぼっているように見えました。立ちつくして山と花を眺めているだけで、ほどけていくものがあります。品種や時期をずらして植えられているため、エリアごとに順々に開花し、比較的長く楽しめるのもうれしいところです。
不忍池の蓮 ― 東京の早朝に、音もなくひらく(東京・上野)
蓮を東京で撮るなら、勝負は早朝です。不忍池の蓮はおよそ午前7時から9時にかけて満開を迎え、昼にはもう花弁を閉じてしまいます。一輪が開閉をくり返すのは三日から四日のあいだだけ。夜通しの勤務が明けた朝、まだ街が眠っている時間に池へ向かうと、高層ビルの足もとで淡紅色の花が音もなくほどけていきました。池の南側には水上に張り出した蓮見デッキがあり、花のすぐ近くまで寄れます。入園は無料です。
ジニアの丘 ― 百日草の虹(茨城・ひたち海浜公園)
春のネモフィラ、秋のコキアで知られるみはらしの丘は、夏のあいだ、色という色を集めたようなジニア(百日草)の畑に変わります。斜面を埋める花はおよそ三万本。丘をのぼっていくと、あの青のかわりに、虹のすべての色が待っていました。朝いちばんの開園に合わせて入ると、光もやわらかく、人も少なく、写真にはいちばんよい時間です。
桃色吐息 ― 東京湾を見下ろす丘のペチュニア(千葉・富津 マザー牧場)
マザー牧場「花の谷」では、南房総生まれのペチュニア「桃色吐息」約2万株が、丘の起伏に沿ってどこまでも続きます。その丘に立ったとき、思わず息がもれました。桃色というには淡く、白というには色づいた、名前のとおり「吐息」のような花。風がわたるたびに、丘全体がやさしく波打って見えます。夜や雨の日には花びらを閉じる性質があるため、よく晴れた日の日中がいちばん見ごたえがあります。
アナベルとスカイツリー ― 夏のはじまりの白(東京・江東区)
夏のはじまりに一か所加えるなら、江東区の川沿いに群れ咲くアナベルです。背丈ほどに育った純白の手まり咲きアジサイが、初夏に降った雪のように広がり、その白い波の向こうに東京スカイツリーが立っています。はじめてその場所に立ったとき、思わず足が止まりました。咲きはじめの淡い緑から純白へ、そしてふたたび緑へと移ろう花です。梅雨のあじさいめぐりは関東あじさい名所ガイドにもまとめています。
夏の花は、それぞれに約束の時間を持っている。
蓮は朝に、ひまわりは真昼の太陽に。
夏の花を撮るために ― 見頃と時間帯
夏の撮影は、時間選びがすべてと言ってよいほどです。蓮は花が開いている午前7時から9時ごろまでに。ひまわりやジニアは、空気の澄んだ午前の早い時間なら背景の山や丘までくっきり写ります。色の強い花は朝夕のやわらかな斜光で立体感が出て、白いアナベルや淡い桃色吐息は露出をわずかに明るめに振ると質感が生きます。三脚や設定など撮影の基本は花風景写真の撮り方に、朝の光をねらう日は朝もやとマジックアワーの撮り方にまとめています。気温の高い季節です。日差しと水分補給への備えもお忘れなく。
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