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桜の絶景名所ガイド ― 一目千本から夜桜、一本桜まで
日本の春は、桜とともにやってきます。山をまるごと染める一目千本、お堀の水に映る夜桜、茶畑にただ一本立つ老木――ひとくちに桜といっても、その表情は撮影地ごとにまるで違います。救急の現場の合間に各地の桜を訪ね歩いてきた私が、とくに心を動かされた名所を、見頃の順にご案内します。
春のはじまり ― 二月から咲く早咲き桜
桜前線を待ちきれない人にこそ訪ねてほしいのが、二月から咲く早咲きの桜です。静岡・伊豆の河津桜は、濃いピンクの花と菜の花が川沿いに競演し、日本でいちばん早い春の便りを届けてくれます。熱海では糸川沿いのあたみ桜が日の出に染まり、東京や千葉の川辺でも河津桜とスカイツリーを一枚におさめられます。ソメイヨシノより一足先に、二月の青空に咲く桜は、長い冬を越えたごほうびのようです。
満開の絶景 ― 山と古都を染める桜
三月下旬から四月、桜は最盛期を迎えます。奈良・吉野山では約三万本のシロヤマザクラが山肌を駆けのぼり、世界遺産の社寺とともに「一目千本」の名にふさわしい絶景を見せてくれます。一本の木に物語を見いだすなら、静岡・島田の茶畑にただ一本立つ牛代の水目桜。樹齢三百年の老木が朝霧のなかに浮かぶ姿は、桜という花の生命力そのものです。
夜に咲く ― ライトアップの桜
日が落ちてからが本番の桜もあります。東京・千代田の千鳥ヶ淵は、雨の夜にライトアップされた桜がお堀の水面に映り込み、都心とは思えない幻想的な景色をつくります。文京区の名勝庭園・六義園では高さ約15mのしだれ桜が闇に薄紅の滝のように浮かび、西新宿のビル街に咲く常圓寺のしだれ桜は、摩天楼と江戸彼岸の取り合わせが東京ならではの一枚になります。
同じ「桜」でも、撮影地が変われば、
春の色そのものが変わっていく。
桜を撮るために ― 見頃と心がまえ
桜の見頃は、早咲きの二月から、ソメイヨシノの三月下旬〜四月上旬、山地の遅咲きまで、地域と標高で大きくずれます。開花は気温に左右され、満開はわずか数日。出かける前に各地の開花情報を必ず確かめましょう。光のやわらかい朝夕や、花曇りの日はピンクが深く写り、青空の日は花が白く抜けて、晴れやかな明るさになります。三脚や設定など撮影の細かなコツは花風景写真の撮り方に、朝霧や夕景をねらう日は朝もやとマジックアワーの撮り方にまとめています。
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